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2008年10月12日





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株式会社サーヴメント dds課/本間裕明さん
オシゴトの内容は?
Webサイトの制作(構築と管理)を中心に、アンケートなどの統計・分析処理、また書籍のDTP(デスク・トップ・パブリッシング)業務をします。お客さまのご要望に応じてさまざまな仕事をサポートさせてもらうので、多岐に渡ります。

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職業とは自分で創るもの
絵画や舞台芸術、映像、パブリックアートなど多岐にわたって活動を続け、今や世界でもその名を知られる存在。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003」では、新潟県十日町市莇平(あざみひら)に明後日新聞を設立し、現在も地域の人々と深い交流を結んでいる。国際的に活躍し、大自然の中にも活動の幅を広げるアーティストに、仕事をするうえでの心構えを聞いた。

日比野克彦
ひびの・かつひこ●1958年、岐阜県生まれ。東京芸術大学大学院修了。在学中にダンボール作品で注目を浴び、数多くの作品を世に送り出してきた。新潟県十日町市を中心に開催された「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003」では「明後日新聞社」を設立、活動を継続中。2005年「愛・地球博」に参加、同年8月には茨城県の水戸で「HIBINO EXPO 2005 日比野克彦の一人万博」を開催した。著書に「100の指令」など多数。最新刊に写真集「Yesterday Today Tomorrow」(リトルモア)がある。 また、6/9〜7/9には九州国立博物館にて、ワールドカップをテーマにした展覧会「アジア代表日本」というサッカーと美術を融合した新しい試みに挑戦する。

─日比野さんは東京芸術大学の出身ですが、絵を描くことを仕事にしようと思って入学されたわけですか。
絵をずっと描いていたいと思って芸大を選びました。仕事になるかどうかっていうのは、卒業するまで分からなかったです。とにかく大学時代は絵ばかり描いていましたね。

─絵以外に夢中になっていたことはありますか。
サッカーですね。サッカー部に入っていたんです。絵とサッカーの大学生活でしたよ。今でもサッカーは大好きですね。

─その学生時代にダンボールを使った作品で注目を浴びるようになったんですね。
社会と関わるようになったのは大学院に入ってからです。1980年代前半というのは、若い才能を吸い上げようとしてくれる時代で、学生にとっていい時代でした。それがよくわかるエピソードとして、コンペティションで賞をとると副賞として車がもらえたんです。サッカー部の後輩もいろいろ賞をもらっていて、部の公用車が3台ありました。車はあるし、賞金もたくさんもらえたので、けっこう潤っていましたね。学校でパーティを開いたり、勝手にゲストを呼んで講演会を開いたり、楽しかったですね。

─大学院進学という道を選ばれたのはなぜでしょう。
あまり就職するというイメージがなかったんです。大学院に進むのもベストの選択肢ではなかったんだけど、あと2年間、社会に出る執行猶予的な気持ちで大学院に進みました。

─大学院修了後も就職はせず、アーティストとして活動を始められましたが、不安はありませんでしたか。
20代のうちはなんとかなるかなって思っていました。でも、30歳ぐらいになるといつまでできるのかなって思うようになりましたね。それは今でも思います。この先どうなるのかなって。

─今でも、ですか。
ずっと絵が好きかというのも分からないですからね。ただ、それは不安とは違います。誰でもふと立ち止まって「俺は何のために生きているんだろう」って思わなければウソだと思うんです。いつまでも順調でいられるわけはないと思うから。なんとなく幸せだなって思えても、それはいつまでも続くはずはない。逆に、すべてうまくいかなくてメチャメチャへこんでいても、いつまでも続かないだろうと、いつかトンネルは抜けられるだろうと思っています。同じ状態っていうのは、いつまでも続かないものですからね。

─現在は東京芸術大学で助教授もされていますが、学生たちに伝えていることは何ですか。
何をテーマにして作品を創っていくか、何を表現するか。それを見つければ同じテーマで絵を描いたり、写真を撮ったりすればいいわけですよ。ただ、テーマは見つけるのがなかなか難しい。実は、テーマは外から見つけてくるのではなくて、自分の中にあるんだけどね。

─テーマ、つまりやりたいことは自分の中にあるということですね。それは、やりたいことが見つからないという人にも当てはまりますね。
そう、職業とは自分で創るものなんです。それはゼロからという意味じゃない。たとえば、新潟日報に入って映像をやりたいって言えば新しい部署ができるかもしれないし、洋服のデザインを作りたいって言えば新しいブランドができるかもしれない。新聞社に入ったから新聞しか作れないって考えるのはおろかだと思う。新聞社は情報を発信しているわけだから、それが紙媒体に限る必要はない。そこで社長や部長に自分はこういう形で情報を発信したいって提案すれば、自分の職業になるわけじゃないですか。言うことを聞く社員も必要だけれども、言うことを聞かない社員も必要なんです。会社に入るということは、会社を少しずつ自分色に染めるということ。それが会社の財産になる。入社したことによって会社の業態が変わるぐらいのことをする可能性はあるんじゃないですかね。そうすれば会社も採用した甲斐があるというもの。ただ、1人じゃなかなかやりにくいとも思う。まずはそんな仲間を2、3人集めて、話を始めるだけでもおもしろくなるんじゃないですか。

─近年はアーティストとしてあらゆる地域でのワークショップや展覧会にも力を入れているようですね。
海外を含めて相当いろいろなところに行きますね。去年の夏には茨城県の水戸で個展を開きましたし、今年の夏には新潟県十日町市で開催される「大地の芸術祭」に参加します。秋には故郷の岐阜県で展覧会を開く予定です。岐阜には親兄弟や幼なじみがいるので、展覧会をするまでの準備期間もそいつらと楽しみたいと思っているんですよ。直接的に仕事とは関係のない活動でも、みんなでひとつのことに向かって動くとモチベーションが上がってきてそれぞれの職場にも好影響を与えると思うんです。そして、展覧会が終わった後も新しいコミュニティを形成して、岐阜の中でおもしろいことができるようにしたいと思っています。

─3年前の「大地の芸術祭」で日比野さんがワークショップを行い、明後日新聞社を設立した十日町市の莇平(あざみひら)地区にはその後もよく足を運ばれ、地域の方たちとのコミュニティを確立しているようですね。各地での人とのつながりを大切にされているんですね。
それが一番大事です。それしかないと思いますよ。何も難しいことじゃなくて世間話から始まるんです。僕は世間話って大事だと思うんですよ。今の若者は自分の得意分野の話はできても、どうでもいい話題が下手ですね。コミュニケーション能力が足りない。天気の話でもいいんです。たわいない話をできるということが、社会に出たときにけっこう大事になってくるんですよね。

─もし日比野さんが企業の採用担当なら、世間話ができるという能力に注目しますか。
それは大きいですね。集中っていうのはみんなできるけど、無駄話とか、世間話とか、「ほかごと」を考えるというのを、人は苦手だったりするんですよ。たとえば授業で落書きするじゃないですか。そのときって、そこにいるけどそこにいないみたいな感じになっているわけ。落書きに集中していて、「あ、授業だ」って意識が戻ってくる。そういうスイッチの切り替えが大事。でも、パソコンの前に座っていると、そこに行ったきりになって終わっちゃうんですよ。その行ったきりというのは、物を発想するとか、イメージを展開させるとかいうときにあまりよくないんですね。集中力はあるけど、展開力がないみたいなね。それでは仕事はうまくいかない。ひとつのことを聞いて、いかに展開できるかってことが大事なんです。

─就職を控えた学生にメッセージをお願いします。
自分にぴったり合う会社はひとつもない、あるわけないんだと知ること。なぜならそれは人が創った会社だから。人の数だけ能力があるし、人の数だけ職業がある。ただ、就職するのは全然悪くないこと。入ってから自分の意見をどんどん言って、その会社を自分の色に染めていくという気持ちが大切です。だから、まずはどこでもいいから入る。なかなか就職が決まらない学生に限っていろいろ言うけど、「とにかくどこでもいいから入れ、入ってからやりたいことをやれ」と僕は言っています。実は、会社を決めるのって簡単なことだと思うんです。建物がカッコいいとか、社名がカッコいいとか。単純な理由で選んでいいと思う。入ってからしか分からないことってあまりにも多いから。よく考えて入社したけど、どうしても上司と合わないってこともあるんだから。あとは縁とタイミングを大事にして、自分の職業を創ってほしいですね。

●情報があふれる現代では、選択肢があまりにも多すぎて、道をあれこれ詮索してしまう。どんな仕事が自分に合っているのか分からなくなる。でも、日比野さんのメッセージは簡潔だった。探すのではなく、創る。どこかにあるのではなく、自分の中にある。自分の中にあるもので創るということ。目を閉じて、自分の望む姿をイメージする。そして、わき起こってくる想いやアイデアを、なんとか形にして、とにかくやってみること、やり続けること。孤高の存在に思えたアーティストから、もっとも近くにあることを教えてもらった。

写真(1)〜(3)
(写真1)新潟県十日町市莇平(あざみひら)にある「明後日新聞社」。明日のそのつぎを思い描く新聞社として、今は廃校となった小学校を本社に発足した。「新聞はいつ出すんですか?」の問い合わせには「明後日あたり」と明後日の方向を見て答えることを社訓としているとか。
(写真2)お祭りの日など年に何度も新潟を訪れ、日比野さんと地元の人々は強い絆で結ばれている。宿泊も民家に泊まらせてもらっているそう。写真は日比野さん主催の泥んこサッカー大会「明後日カップ」の様子。
(写真3)明後日新聞社内(教室内)のようす。取り上げる記事は大地の芸術祭アートトリエンナーレの情報から越後妻有各地のトピックス、社屋のある莇平の出来事など。月一回発行。

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