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2008年12月4日





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株式会社東陽理化学研究所 技術開発部皮膜開発グループ 主任/横山瑠理子さん
オシゴトの内容は?
特殊な薬品の中で、アルミに電流を流して皮膜を成長させ、それに染料で染色をする実験です。皮膜の生成条件、染色条件で金属は実にさまざまな風合いを見せます。

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現在、若者の雇用問題としてフリーターより深刻視されているのが「ニート」(NEET=仕事もせず、教育や職業訓練も受けていない若者を指す)と呼ばれる若年無業者の増加。その数、約50万人。そんな若者たちを、あたたかな目線で研究しているのが、著書『ニート』を発表した東京大学助教授の玄田有史さん。働くということは、いったいどういうことなのか?働く意味とは? 1つの答えが、ここにある。
   

玄田 有史(げんだ ゆうじ)
東京大学助教授 経済学博士
1964年島根県生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学後、ハーバード大学、オックスフォード大学各客室研究員、学習院大学経済学部教授などを経て、2002年より東京大学社会科学研究所助教授。同年、経済学博士号取得。専門は労働経済学。
主な著書に『仕事のなかの曖昧な不安』(中央公論新社、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社)、『ニート フリーターでもなく失業者でもなく』共著(幻冬舎)がある


―東京大学で学生と接している玄田さんから見て、就職活動の際、学生に必要なスキルはなんだと思いますか。
まず必要なのは、コミュニケーションスキル。人とうまく会話できる技能のことです。そして、就職のマニュアル本を読みすぎないこと。会社の人の話をしっかり聞かなくなるからです。面接で重要なのは3点。うなずくこと、前のめりになること、聞いたふりや書いたふりをすること。積極的な姿勢、向かっていこうとしている姿が大事です。気をつけなければいけなのが、面接が終わったときの後ろ姿。無防備だけど、背中はいろいろ語る。そこで背中の大きな人を採用する。苦しいときこそ、自分の背中を意識してシャンとすることです。

―学生たちは、いい会社に入りたいと言います。玄田さんが考えるいい会社とはどのような会社ですか。
育成に力を入れている、一人前に育ててくれる会社がいい会社。ダメなのは「即戦力を求めています」という会社。そんな会社には行かない方がいい。学校出てすぐに活躍できるほど、社会は甘くない。そして何よりも大事なのは、その会社の雰囲気が合うかどうか。仕事が自分に向いているかなんて考える必要はない。一見、向いていない仕事でもやりがいを見つけることがあるかもしれない。

―面接のときだけでは、見極めるのが難しいですよね。
まずトイレに行ってみる。掃除の行き届いていない汚いトイレはよくない会社。トイレがきれいなら、清掃の人も誇りを持って働いているということ。あと、玄関が立派すぎる会社。玄関に金をかけて厚化粧をしている会社は大体よくない。

―公務員など、安定した仕事がしたいという学生も多いと思います。
簡単に安定を目指すと不幸になります。公務員を目指すのはいいけど、安定を理由にして公務員になったら一番不幸になる。なぜなら、今、公務員が一番変わらなければいけない職業だから。今のままでいいと考えていると衰退が始まる。人間弱いから、不安定ばかりじゃ苦しい。だけど、今、この仕事についたから安定というのはない。だから、ここだけはイヤだなとか、こういう事態だけは避けたいというのを考えていたほうがいい。最悪な状況をイメージして、今できることをやっておく。あとは天に運を任せるしかない。そんな世の中です。

―就職してもすぐに辞めてしまう若者も多いようです。
大卒で3年以内に仕事をやめる人は全体の約3割もいるそうです。転職をして、不幸になるか、幸せになるかの分かれ目は、誰に相談したかということ。自分の周りにいる仲のいい人に相談するとうまくいかない。たまにしか会わないけど、信頼できる知り合いに相談すると、うまくいくことが多い。なぜなら、自分の世界でしか生きていない人は、外の世界が見えにくいから。身近にいる人も自分の世界の人には違いない。めったに会わなくても、お互いに信頼の気持ちで繋がっている人間関係。それをウィークタイズ(weak ties-弱いつながり)と言います。よりよく仕事をするため、よりよく生きていくためには、できるだけ多くのウィークタイズを持つことが大事です。

―ウィークタイズをつくるには、どうしたらいいでしょう?
いろんなところに出掛けていくこと。いろんな人に会うこと。案外、社会人というのは、違う業界の人に会えない。でも、学生が「本当に会って話を聞きたいんだ」という熱意を持って、 真正面から飛び込んでいけば、たいていの大人は受け入れてくれる。本当に忙しい人は忙しいとは言わない。だから思いっきり飛び込んでほしい。もちろん、その人についての下調べはきちんとしたうえで。手書きのハガキで熱意をぶつける。いろんな人にぶつかってほしい。自分から1歩踏み出すこと、自分と違う世界の人とつながろうとする気持ちが大事です。

―現在、職探しをせず学校にも通わない「ニート」と呼ばれる若者たちが深刻視されているようですね。
以前は若者の雇用問題といえば、フリーターでした。しかし、現在、日本では働くことにも学ぶことにも希望を失ったニートと呼ばれる若者が、50万人を越えると言われています。ニートの人たちは「やりたいことが見つからない」と言います。仕事についての情報があふれている世の中だから、やりたいことが見つかりやすいのでは、と思われますが、情報がありすぎるがため、仕事を選べない。だから、親は子どもに対して、「やりたいことをやれ」と言ってはいけません。「やりたいことはやってもいい。だけど、こういう仕事だけはやってはいけない」というのを言ってあげてください。人を騙すことはいけないとか、汗水流して働いてほしいとか、親の価値観を伝えてください。とにかくやりたいこと、好きなことをやってもいいと言われると、子どもは苦しい。やりたいことがないからといって、不幸なんかじゃない。もっとニュートラルで、これだけはやりたくないということを考える。やりたいことを見つける必要なんてない。やりたいことは、見つけるんじゃなくて、出合うものなんです。

―働いている分、フリーターはあまり心配ではない?
誇りを持って働くのなら、フリーターでもいい。でも、20代後半になって結婚して子どもができたら、正社員になりたいと考える人が多いようです。そこをよく考えること。そのときに、今までどんな仕事をしてきたか聞かれて、こういうことをしてきたんだと胸を張って言えるようにすること。あまり働く意味なんて考えなくてもいい。自分の人生に、ささやかな誇りを持ってやり遂げた仕事があるかというのを、毎日じゃなくても、考えることが大事です。

―誇りを持つほかに、働くうえで、大切なことはありますか。
働くとまずショックを受けます。苦しいし、辞めたくなることがあると思う。働くのが楽しくてしょうがないって人はいるけど、極めて例外。仕事は理不尽で矛盾ばかり。でも、たまにはいいこともある。逆説的だけど、ちゃんと働きたいって思ったら、ちゃんと遊ばなければダメ。遊びのない人間はいい仕事ができない。遊ぶっていうのは、趣味に生きるってことじゃなくて、自分の中の未開の地をつくろうとすること。遊びには、新しいところに行ってみたいとか、ちょっと冒険してみたいとか、ワクワク感がある。そういうことが必要。仕事をするのは大変なことだから、どこかに心の窓を開いておかないと苦しくなってしまう。家庭と仕事の2つだけ大事にするんじゃなくて、もう1つ居場所をつくっておく。遊びを持つと、案外安定することが多いんです。

―最後に、学生時代にしておくといいことはありますか。
授業はわけわからないことだらけだと思う。だけど「大事なことを言っている気がする」と感じることが重要。わけわからないから、自分で調べたり、先生に直接会って話を聞いたりする。わけわからないことから、逃げないで立ち向かうことが、学生時代でもっとも大事なこと。これが社会で一番役に立つ。仕事なんてわけわからないことばかりなんだから。そこで無理だと思ったら、仕事はできない。だから、私は学生たちにわけわからないことを経験しろと言っています。その一番の方法は「恋愛」。恋愛して失恋する。恋愛ほどわけのわからないことはない。それから、映画、本、音楽にふれるというのも大事。できれば昔からの名作がいい。なぜ、この作品が名作と呼ばれているのかを考える。そういう作品は、何がおもしろいかすぐにはわからない。いろんな解釈、味わい方ができる。学生時代は、そんなわけわからないものに、たくさんふれてほしいです。

就職活動を控える年齢になり、社会に出るということを考えた時、つい悩んでしまうのが「どの仕事が自分に向いているのか」ということ。やりたいことがあるのなら、その目標に向かってまっすぐ進めばいい。でも、多くの学生が、何が自分の天職なのか、そもそもやりたいことは何なのか、と頭を悩ます。しかし、「やりたいことがないからといって不幸じゃない」…玄田さんが、著書『ニート』の中で一番伝えたかったことだという。どんな仕事でもやっていくうちにおもしろさ、やりがいが見つかるかもしれない。何がやりたいのか考えるのはいいけれど、考え過ぎはよくない。大事なのは心に遊びを持つこと。そんな肩の力を抜いたスタンスも大切なのだと教えてくれた。

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